2017年07月10日

修復の様子【12】リード調律と組付け

ハルモニウムは既に到着していますので、修復レポートは昨日の新聞になってしまいました。
追いつかねば!

発音体はフリー・リードと呼ばれ、アコーディオン、ハモニカなどと共通の構造です。風量で音量を変化させても振動数(音高)が変わらないとされています。
と言っても工学的には「片持ち梁の自由振動」なので、多少の変動はあるはずなんですが、理論的な解析は見つかりませんでした。実用上問題ない、と言うことのようです。

修復工事のいちばんはじめに取り外しておいたリード。これは低音の一部。
修復の様子【12】リード調律と組付け

こちらは高音側。
修復の様子【12】リード調律と組付け


調律はヤスリでリードを削っています。
電子チューナーで計りながら数百本のリードを合わせ込んでいくのは、とてつもない根気仕事ですね。
修復の様子【12】リード調律と組付け

Huivenaar氏のレポートに
  「はじめに少し高めに合わせて、その後削って低い方に合わせ込む・・・」
との記述があり、弦楽器的な感覚では理解不能でしたが、リードの先端を落として高音側に振ったあと本調律で根本を削る、と考えればつじつまが合います。
ハルモニウムにも詳しいオルガン・マイスター須藤宏氏にお聞きしたところでは、
「リードは風箱に組み込むと音が下がる傾向にある。また、音を下げるのはリードを取り付けたままでも出来ることも大きい。」
とのことです。


調律の終わったリードを風箱にネジで組み付けています。
修復の様子【12】リード調律と組付け

リードを外す時にネジを整理板に並べていましたので、どのネジを何処に組むのか?は悩まずに済みますね。

修復の様子【12】リード調律と組付け

プロの仕事だなぁ。


Huivenaar氏のレポートでは触れていませんが、須藤マイスターからは「重量挙げを繰り返す重労働だった」とお聞きしました。
リードは単体で調律しても、風箱に組み込むとズレが出るものがある。その度にリードを外して再調律せねばならず、鍵盤と風箱を持ち上げて開くことになる。その繰り返しで大変な仕事だったとのお話しでした。
パイプオルガンのような大規模かつ複雑な建造物とは違う苦労があるものなのですね!
(TANUKI)



Posted by Nipponharmonium at 20:31│Comments(0)
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