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Posted by みやchan運営事務局 at

2017年07月27日

修復の様子【14】余談

余談というか蛇足というか、Huivenaarさんのレポートを見ていて嬉しくなった事です。

まずこれ。
ノギスのブランドが Mitsutoyo ,Made in Japan。


ノギスは製造業の現場では不可欠の備品です。
ミツトヨさんの栃木工場見学の折、戦前にドイツ製ノギスをコピーすることから始まったと聞きました。
製造業では精度維持のために、普通3ヶ月毎に検定して規格から外れると廃棄処分しています。一般工房はそこまでやっていないと思いますが。

こちらは日立工機の充電ドリルドライバー。


隣国ドイツにはBOSCHというこれまた素晴らしい工具メーカーがあるのになぁ・・・
欧米の工具屋さんのカタログでは、ずいぶん前から日本のメーカーが「これマキタだよ!」 「日立ですよ!」みたいな扱いです。
蛇足の2乗ながら、私の工房でも日立を使ってます。

小物も発見。
矢印のカッターはOLFAですね。


OLFAは 「折る刃」 を1956年に発明した大阪のメーカーです。
いまでは事実上の世界標準。


リード調律はKORGの電子チューナー。




こうした要素技術の分野で日本は大きな存在感があります。
i-phoneの構成部品は半分が日本製とか。
残念なのは要素を統合して大きなビジネスにつなげる戦略が弱い。あちらこちらで言われていることですが。
それも日本文化の一側面なんかなぁ?
(TANUKI)
  


Posted by Nipponharmonium at 16:15Comments(0)

2017年07月27日

修復の様子【13】出荷の最終点検

出荷前の最終チェックに掛かったのは3月末でした。

風箱から各ストップに行く風をON/OFFするパレットの角にヒビが入っている。
(この写真は風箱をひっくり返して下側から見ているのでご注意!)


接着!



こちらはふいごを動かすレバー。大きく割れている。


接着!



ほかにも何カ所か割れ、破損を補修されていますが省略。

いよいよ出荷用のケースの段取りです。
アルミ製の頑丈そうなケースで、楽器に合わせた特注品。




運搬中にケース内で楽器がずれて損傷しないように四隅を保護する固定板を製作。



ピタリと収まりました。


いよいよ日本へ向けて発送です。
(TANUKI)  


Posted by Nipponharmonium at 08:59Comments(1)

2017年07月10日

修復の様子【12】リード調律と組付け

ハルモニウムは既に到着していますので、修復レポートは昨日の新聞になってしまいました。
追いつかねば!

発音体はフリー・リードと呼ばれ、アコーディオン、ハモニカなどと共通の構造です。風量で音量を変化させても振動数(音高)が変わらないとされています。
と言っても工学的には「片持ち梁の自由振動」なので、多少の変動はあるはずなんですが、理論的な解析は見つかりませんでした。実用上問題ない、と言うことのようです。

修復工事のいちばんはじめに取り外しておいたリード。これは低音の一部。


こちらは高音側。



調律はヤスリでリードを削っています。
電子チューナーで計りながら数百本のリードを合わせ込んでいくのは、とてつもない根気仕事ですね。


Huivenaar氏のレポートに
  「はじめに少し高めに合わせて、その後削って低い方に合わせ込む・・・」
との記述があり、弦楽器的な感覚では理解不能でしたが、リードの先端を落として高音側に振ったあと本調律で根本を削る、と考えればつじつまが合います。
ハルモニウムにも詳しいオルガン・マイスター須藤宏氏にお聞きしたところでは、
「リードは風箱に組み込むと音が下がる傾向にある。また、音を下げるのはリードを取り付けたままでも出来ることも大きい。」
とのことです。


調律の終わったリードを風箱にネジで組み付けています。


リードを外す時にネジを整理板に並べていましたので、どのネジを何処に組むのか?は悩まずに済みますね。



プロの仕事だなぁ。


Huivenaar氏のレポートでは触れていませんが、須藤マイスターからは「重量挙げを繰り返す重労働だった」とお聞きしました。
リードは単体で調律しても、風箱に組み込むとズレが出るものがある。その度にリードを外して再調律せねばならず、鍵盤と風箱を持ち上げて開くことになる。その繰り返しで大変な仕事だったとのお話しでした。
パイプオルガンのような大規模かつ複雑な建造物とは違う苦労があるものなのですね!
(TANUKI)  


Posted by Nipponharmonium at 20:31Comments(0)